F-4E(s)ファントム。これは、お気に入りの1作。
日本もF-4の偵察型RF-4を使っているが、これはイスラエルが独自に改造したというので、あれとは少し系統が違うのだろう。右肩に伸びた給油パイプと、機首下の丸みのある張り出しが特徴か。片道でペルシャ湾の向こうまで飛び、アメリカの給油機から給油して帰ってくる。そのため、元々の背中の給油口に加え、海軍型の給油パイプを横に張り出して付け、どちらからでも空中給油できるようなっている。
偵察専用機としては珍しく撃墜記録を持っている。一応携行している自衛用ミサイルも使わない撃墜記録だ。本機2機がイラク戦争前のイラクを偵察した。イスラエルとイラクだからもちろん領空侵犯だろう。その帰り、アフターバーナーを力一杯吹かして必死に追いすがるMig-21があったという。逃げるF-4E(s)、追うMig-21。追って追って、逃げて逃げて、F-4は逃げ切り、Mig-21は消えた。後に、このMig-21が燃料切れで砂漠に墜落しているのが分かったという。この無手勝流の撃墜記録は、部隊の撃墜記録になったが、個人の撃墜記録にはならずだったそうな。この飛行機の高速持続時間がどれくらい長かったかを物語る。
これ以前に、イスラエルは水を使ったエンジンのブーストでF−4ファントムを強化する依頼をアメリカの会社にしていたらしい。目的はMig-25対策。その頃、まだMig-23と言われていたMig-25フォックスバットらしき機影が、イスラエルのレーダーをマッハ3を越えるスピードで横切っていたという。これに対抗できる飛行機がイスラエルには無かった。無いなら作れ。そのための計画だったようだ。その戦闘機の計画は消えたが、3機作られたというF-4E(s)はこのエンジンを積んでいたという話もある。
今回の絵はwarbirds.jpに投稿した絵の改造版。その時は空軍型の空中給油機のブームが背中に伸びていた。そのブームは消し、影だけだったパイロットを少し描いた。
実機の歴史を見ると、常時戦時のイスラエルの最先端の偵察機なわけでバリバリの緊張感一杯の飛行機だ。とてもこの絵のようなのんびりした飛行機ではない。ところが、下描きの途中でテールをチョイと上げてみた辺りから妙に犬の雰囲気が出始めた(あらっ?)。少し丸みを持たせ、レドームを黒く塗り、迷彩をするとビーグル犬の雰囲気が漂うようになった。絵を見て気がついた人が数人いたようで、見知らぬ人や飛行機に興味がない人との感覚の共有がうれしかった。
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